今さら聞けないロット管理の基本 2025.02.20
本コラムでは、分かっているようで分かっていない、かといって人には恥ずかしくて聞けない、ロット管理の基本とメリット・デメリットについてご紹介します。
ロット管理の知識に自信がない方はもちろん、詳しい方もおさらいのために、ぜひ読んでいただければと思います。
Ⅰ.ロット管理とは
ロット管理とは、同一の条件で製造される製品の最小単位=ロットを用い、仕入れから出荷まで管理することを指します。各ロットにはそれぞれ固有の番号(ロット番号)が割り当てられ、識別されます。
1ロット当たりの数量に決まりはなく、条件設定も自由ですが、製造業では1回の製造指示に基づいて生産される量を1製造ロットとして設定するケースが多くなっています。
Ⅱ.シリアル管理との違い
ロット管理とよく似た言葉でシリアル管理というものがあります。
ロット管理が特定の条件で一定量の品物を括り、ロット番号を付けて管理するのに対し、シリアル管理では品物一つ一つに固有のシリアル番号を付与して管理します。
ロット管理と比較してより高い管理レベルが実現可能となりますが、品物すべてに固有のシリアル番号を付与し、管理する必要があるため、ロット管理よりさらに手間とコストが大きくなる欠点があります。
Ⅲ.ロット管理のメリット
ロット管理という言葉の意味を理解いただいたところで、そのメリットについてご紹介します。代表的なメリットとしては次の2つがあります。
① トレーサビリティの実現
ロット管理を行う一番のメリットと言って良いのがトレーサビリティの実現です。
ロット管理を行う場合、製造した製品を入庫する際にロット番号を割り当てますが、その割り当て時にどのロットの部品・材料を使用したかを指定することでロット同士の親子関係を紐づけます。この紐づけをもとに使用ロットをトレース(追跡)することができます。
また、出荷の際にどの製造ロットの製品を出荷するのかを指定することで、出荷情報との紐づきを持たせることが可能です。
この紐づきにより実現するトレーサビリティは、品質不良が発生した場合の迅速な対応に繋がります。例えば、ある得意先から出荷した製品の品質不良の報告を受けた場合、どの仕入先からいつ入荷した部品を使用して、いつ製造されたものか確認することができるので、不良原因の特定につなげられます。そして、原因となる中間品・部品・材料を使用している製造ロットが特定できれば、不良が発生した製品と同一の製造ロットで製造された製品が、他の得意先に出荷されていないかをすぐに確認することができます。
こういった特定ができることにより、リコール対象を正確に把握することが可能となります。
②工程、在庫管理の効率化
工程管理においては、一つの品物の状態を確認することで、同一ロットに含まれる他の品物の状態を推測することができるため、全体の状態を効率的に把握することが可能になります。また、在庫管理においてはロットごとに各種情報(入庫日・製造日)などを紐づけて管理するため、より正確な先入れ先出しを実現できます。
これにより、特に有効期限(消費期限、賞味期限)が存在する製品・材料を扱う業種においては廃棄のリスクを減らすことができ、メリットがより顕著になります。
Ⅳ.ロット管理のデメリット
ロット管理の最大のデメリットは実施の手間です。完全なトレーサビリティを実現するためには、
●部品や材料の仕入れ時にロット番号を割り当て
●中間品や製品の製造時にロット番号を割り当て、使用材料のロット番号を指定
●出荷時にロット番号を指定
と節目になるポイントで番号を採番して割り当てなければならず、製造時にはどのロットの部品・材料を使用したのかを指定、出荷時にはどのロットの製品を出荷するのかを指定する必要があります。こういった作業を紙やExcelで行おうとする場合、かなりの手間がかかってしまいます。
Ⅴ.生産管理システム利用のススメ
先述のロット管理のデメリットとなる手間の部分を大きく改善するのが、生産管理システムをはじめとしたシステムです。
システムを利用すればロット番号を自動で採番して割り当てることが可能ですし、製造の際に使用したロット、出荷の際のロットはシステム内のデータをもとに表示される選択肢から選ぶことで指定できます。可能な限り手間をかけずにロット管理の恩恵を享受できるため、システム利用は非常に有効な手段となります。システムを利用してロット管理を行う場合にポイントとなるのが、利用するシステムの種類(機能範囲)です。製造業で利用されるシステムとしては、機能範囲が限定された在庫管理システムや販売管理システムなどもあれば、生産の流れ全体をカバーする生産管理システムがありますが、ロット管理を行う場合にオススメとなるのが後者の生産管理システムです。
生産管理システムでは、部品・材料を仕入れてから製品を製造し、出荷するまでの流れをすべてカバーしているため、一つのシステム内でロット管理を完結させることができます。ロット管理においては全体の繋がりが非常に重要となるため、業務の一元管理ができる生産管理システムの強みが発揮されるのです。
まとめ
今回は、ロット管理の基本とメリット・デメリットについてご紹介しました。昨今、市場からの品質要求は高まり、ロット管理の重要性が増しています。ロット管理は、トレーサビリティの実現、業務の効率化といった大きなメリットがある反面、管理に手間がかかるといったデメリットも抱えています。人手不足が深刻化している中、そのデメリットを軽減するのが生産管理システムです。
「でも、どういったシステムがロット管理に適しているのか分からない」そういったお声もあるかと思います。そのような方は、ぜひ弊社までご相談ください。
弊社で開発・提供しております生産管理パッケージ「Factory-ONE 電脳工場」は、ロット管理に関する機能が充実しており、販売管理から生産管理まで製造業で必要となる機能を網羅したシステムとなっております。
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